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【note】【一週一哲】ニーチェ - 「怒るタイミングが分からない人」へ -【Part1-1】

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ニーチェ解説

ニーチェは20世紀の「問題的」な哲学者だ。

 

ツァラトゥストラはかく語りきを代表とした著作や、「ルサンチマン永遠回帰といった概念を知っている人も多いだろうと思う。

 

ツァラトゥストラかく語りき (河出文庫)

ツァラトゥストラかく語りき (河出文庫)

 

 

 

彼の哲学は、20世紀の思想や歴史に多大なる影響を与えた。どう与えたのか、と言われても、たくさんあり過ぎて説明するのが大変なほどだ。

 

彼の思想を紹介しよう。

 

僕たちは、「真理」「真実」というものが絶対にあると思っているはずだ。とはいえ、この世界の真理や真実があると思っている人はいないだろうけれども、「こっちが正しい」「これがよい」という判断はするだろうと思う。

 

それはものごとの選択肢から何か1つを選ぶときに必ず行う「知的作業」。その際、何を基準にするかといえば、「真理」や「真実」だ。(カント的に言えば「定言命法」は有名だ。)

 

 

純粋理性批判〈1〉 (光文社古典新訳文庫)

純粋理性批判〈1〉 (光文社古典新訳文庫)

 

 

 

あるいは、「きれいなもの」「美しいもの」はなぜ「きれい」「美しい」のか?を考えたときに、その本質である「きれい」「美しい」という絶対的価値そのものが目に見えない形で存在すると、僕らは「勝手に思って」いる。(これをプラトンは「イデア」とする)

 

パイドロス (岩波文庫)

パイドロス (岩波文庫)

 

 

 

この「真実」「真理」「絶対的価値」はもちろん目に見えないのだが、あると信じたい気持ちがある。

 

僕たちは、何かのものごとを考えたり、自分の考えや思いをしっかりとしたものにするために、このような形而上的な概念を使うのだ。簡単にいえば、想像しているものを「存在している」とみなしている。

 

ニーチェが生きていた当時は、キリスト教的な教えが信ぴょう性を失ってきていた時代だった。その代わりに、理性によって合理的な判断をすること、科学的根拠を持って世の中を説明することが重んじられるようになる。

 

その中で彼は、人間は「欲望」(力への意志と彼は呼ぶ)こそが、人間の根拠性であるとしたうえで、理性やそれによって導かれるとする「真実」は「くそくらえ」であると結論付けたのである。(もちろんくそくらえ、とは僕の表現である。)

 

僕たちは(日本人のことだけど)、基本的にクリスマスをやるかと思えばお正月もするし、敬虔な何かの信者という人はあまりいないだろうと思う。しかし、当時のヨーロッパからしてみれば、神の「隣人愛」の教え=「汝の敵を愛せよ」という考えや、また、「禁欲的、利他的なこと」が善であるとされていた。

 

(ちなみに、禁欲的なのはプロテスタントで、この禁欲主義が資本主義を発展させたとしたM・ウェーバーの『プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神』は一読すべきだ。)

 

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)

プロテスタンティズムの倫理と資本主義の精神 (岩波文庫)

 

 

 

そして、その「神」は信ぴょう性を失いつつあった時代背景もあり、「どうせ何しても無理だろ」的なペシミズム(悲観主義)が蔓延していたのだ。「どうせ思考」と僕は呼んでいる。(心理学の論理療法にもこのような用語がある。)

 

自己変革の心理学 論理療法入門 (講談社現代新書)

自己変革の心理学 論理療法入門 (講談社現代新書)

 

 

神を信じるにせよ、信じないにせよ、当時の時代は「悲観的な考え」が蔓延していたし、それを理性では解決できなかったという状況に陥っていたといってよいと思う。

 

そこで彼が提示したテーゼ力への意志が生きてくる。人はまず自分を愛すること、自分の感情、思い、チカラを信じることが最初にくるべきであって、理性を基にした真理からは何も見えてこないという考えだ。

 

このような力強いテーゼを世の中に提示した彼の思想は、その後ナチズムの思想的な支えになったのではないかという批評もあるが、それは彼の思想を一側面からだけ見る行為であり、僕は支持しない。

 

彼の思想の中に永遠回帰という考えがある。これは要するに、世の中の流れは毎回同じことを繰り返す、という考えのことだ。(カルヴァンの予定説と似通っているように見えるが、それとは異なる。)そうではなくて、この永遠回帰という考えは、「人間は無力で何事もなしえない存在」であることを説明するための考えだ。

 

そして、そのペシミズムを極限まで悲しむ。「僕はなんて非力な存在なのだ!」という思いを徹底したうえで、そんな自分を超えていく。それが彼のいう「超人」である。

 

以上、ニーチェの思想をまとめた。

 

次に、彼の思想を「怒るタイミングが分からない人」向けに解釈していきたい。

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よかったらぜひぜひ!

note.mu


※追記(2016年1月30日07:20)
文中で紹介させていただいた書籍は、実際に読んで読者に紹介しています。
どれも面白いので(確かにムズイですが)ご参考にしてください。